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笑顔に集約されている

キバ子が大人になっていく。心にこびり付いた泥が、落とされていく。
いや落とされてという表現は失礼か。キバ子自身の行動により、落ちているのだから。
本人にその意識は無くとも、むしろ無いからこそ良い、とても良い。これが成長だよ。

加えて沼の底にいるサチの手を取り、引き上げてまでいる。
私はキバ子よりもむしろサチを心配していて、さらに言えば
「キバ子とノーガードで悪口言い合うくらいの関係になってくれんか…」と願っていたので、理想すぎる…あまりにも、理想だよ…。

しばらくキバ子関連で感想を書いていて、その願いが結ばれた…!という感じなので
何を語ってもこれまでの復唱になってしまう気がするし、
何より今回は「次の展開がどうなるか」という『起承転』ではなく「解答あるいは決着」という『結』寄りの回で
原作を読めばそこに全てがあると思うので、どうこう語るよりも感謝しながら読むだけで十分すぎるほどに満たされる…という感じです。

◆◆◆

これまでに無かった場面をあえて言うならば、うっちーとの絡みにおける浄化のされ方なんかは
キバ子自身がこれまで己の心に作っていた枷を解いた感じが凄まじいと感じるわけですが、
今回一番のポイントは、ラストの真子さんの笑顔だと思います。あの笑顔に、今のキバ子の全てが集約されているとさえ思う。

真子さんが、キバ子に対して、純粋に、喜びを抑えきれない笑顔を向けたんですよ。

二木さん及びサチ関連で真子さんが一切出張ってきていなかったことが、素晴らしく活きている。
保護者な真子さん、あるいは他のクラスメイトとは常にカーストや自身との位置関係を意識してしまうという呪縛から踏み出し、
二木さんに対してもサチに対しても、キバ子は自身の行動で対等な関係を作り上げた。
二木さんと対等であることの心地よさに関しては過去の感想で語りましたが、それらの到達を真子さんで表すの、凄い。本当に凄い。

◆◆◆

これで今後キバ子は二木さんあるいはサチと絡みが増えるのかもしれませんが、
個人的にはむしろこれで他のクラスメイトとも交流が増えるんじゃないかと思って、いや、願っています。
今のキバ子は解き放たれたので、今回のラストが象徴しているように、他人の顔色を伺うことなくフラットに会話できるはず。だからこそ。
三家さんとも会話が弾むかもしれないし、顔色を伺う必要が無くなったことで、ついに飯にツッコミを入れる時が来るのかもしれない。

個人的に一番見たいのは、加藤さんと改めて絡むシーンだったりします。
「最近の南さん、なんだかとても、肩の力の抜けた自然な雰囲気になった」
加藤さんがそんな風に感じ取ってくれたら、とても嬉しい。
今のキバ子にはそんな魅力があると思うし、加藤さんはそれを感じ取れるとも思う。

加藤さんは内心キレていた場面もありましたが、それでも呑み込んで最後まで修復しようとしていましたしね。
あのときあれだけキバ子がすり寄ろうとした加藤さんが、
カーストへの意識も無くなりフラットになったキバ子に惹かれるというのは、構図として面白いとも思う。

私は割とひねくれているというか、基本的に自分の心の中で原作と地続きに広がる
原作に無いシーンや原作の先のシーンを妄想してしまうタイプなので、
ここで二木さんやサチではなく、一連の流れに一切出てきていない加藤さんを持ってきてしまうのです、はい…。
こうやって広がった妄想が収集付かなくなって同人誌作って落ち着けているんでしょうね、ワタモテに関しては…。

そんなわけで、「よかった!」だけで済むかと思ったら意外と書いてしまいましたが
(でも私は語り始めると本当に酷いことになるので、これは相当短くまとめたよ…)、
とにもかくにも、真子さんの笑顔が全てだと思ったのでした。

◆◆◆

二木さんとの交流が生まれたときあたりから言っていますが、キバ子に関してはもう心配していないので
(心配は完全にサチに移行していて、そのサチも今回キバ子に手を引っ張られ一歩踏み出した)、
今後どうなるかはあーだこーだ救われてくれだと願うよりも、ただ原作を楽しみに待つという感じかなぁ。
いや、加藤さんとの絡みとか妄想しといて言えたことじゃないけど。

文化祭で自然とキバ子も動いて絡むのか、とりあえず決着ということでキバ子は一旦フレームから外れて
もこっち達がクローズアップされるのか、どちらでも楽しみよという感じで。


文化祭に関して私の願いを言うとすれば、ゆうちゃんは友人(沙羽さん?)を連れて来るのか、
そして友人たちに出番があるとするならば、彼女たちはゆうちゃんの受験を応援してくれているのか…という点が全てというくらいに強いです…。
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コメント

No title
こんにちは、がんばれうっちーの折にコメントさせていただいた者です。サチがのっぺらでなくなったのに自分が名無しなのは・・・と思いハンネを付けました。どうかよろしくお願いいたします。サチに眼が描かれて魂が宿り、キバ子が成長する・・・反響を呼ぶのも当然ですね。キバ子は群を抜いて幼くて、それを言ったら相手がどう思うか・・・よりもウケるかウケないかで後先考えずに悪口を口にしちゃう子でしたが、この成長ぶり。自分は悪く言ったオタたちから嫌がられるのでは‥と思慮できているのがとてもいい。だんだん周囲が見えてきているのでしょうか。でも性格は簡単には変えられませんから「よっわ」と言っちゃうのがご愛嬌ですが二木さんのフォローが効いてますね。サチはキバ子と違い悪口については慎重に口にしていたのでしょう。時には自分では口にせず他人に言わせる、最後に言う・・・。キバ子の自立を感じてその慎重さが崩れ、うるせえなになってしまった。周囲の色や反応を見てから口にする、かつてのネモもそういう面がありましたし、サチも普通の女子なんだと今は思いますが、途中はそんな事わかりませんからラスボス登場みたいな恐れおののきで更新を待ちました。雌猫のかよさんもそうでしたが、モブだったキャラに眼が描かれて魂が宿り、主役のもこっちが居なくても物語を紡げるようになってゆく、これがわたモテの魅力の一つではないでしょうか。他のマンガで最初から設定のはっきりした登場人物が複数居るとか、スピンオフ作品でモブにスポットを当てた作品ならありますが、モブだった人がキャラとしても登場人物としても成長するというのはわたモテならではだと思います。キバ子は修学旅行の班決めで、ゆりちゃんを孤立させてどうこうとか周到な計画ではなく、おそらくは安直にまこっちを引き込んだのでしょう。それがゆりちゃんを孤立させたことがもこっちとの出会いに繋がり、読者目線でいえばわたモテの流れを変えた。キバ子本人は知るよしもありませんが登場人物の広がりは自分を孤立へと導いてしまった。今もこの作品が愛されているのはある意味キバ子の活躍(?)のおかげですし、キバ子にも悪口だけではない楽しい学校生活を送ってほしい。また来ますね〜。
Re: No title
>うずらさん
コメントありがとうございます!
自分以外の人の好きな物についての語りを聞くのも大好きなので嬉しいです。
サチの顔が描かれたことから自分もHNをつけてみようという読み方、めちゃくちゃ良いですね。

言われているようにサチは周囲が見えているというか悪い意味で見すぎているようなタイプで、
だからこそアホそのものの小陽ちゃんは(悪意も込みの)「カワイイ」存在、という面もあったのでしょうね。
サチのキャラクターに関してもキバ子の成長に関しても、うずらさんが仰られていることが物凄くわかるというか
うんホントそうだよね~と改めて作品について考えたくなる良い感想をありがとうございます…!

でもって、そんなキバ子の成長とそれに伴うサチの苛立ちを、一方をもう一方を描くための脇役にはせず
どちらも主題として描いていることが凄いなぁと感じました。

個人的にはサチがここまで掘り下げられるとは当初(3年進級や遠足あたり)は予想しておらず、
顔に関しては「キバ子の心境が変わることで、演出として相手の顔が見えるようになるのかな?」なんて考えていたのですが、
これはもうホント、サチ自身のキャラクターによって見事に明らかになりましたね。
「キバ子というキャラクターを描くための脇役」ではなく、サチ自身が確かな足取りで歩み出しているというか。
極端なことを言えばゆりちゃんですらモブのような物でしたし、ワタモテの脇役の創り方というか育て方は本当に魅力ですよね。

個人的には漫画の登場人物の漫画で描かれていない様子を想像するのが好きで
昔で言えばキバ子だったり、数話前までならサチだったりの「一面しか描かれていないキャラクター」に対して
「この子らは漫画には悪い面しか映っていなけれど、日常の大半はなんてことない普通の子として普通の時間を過ごしていると思うんだけどなぁ」
と考えがちなので(サイコロの目が一面しか見えていない状態で、他の全ての目も同じ数字だと考えるのは早計なように)、
こうしてキャラクターに奥行きが生まれる展開はとても楽しくて好きです。

それとキバ子の行動に関しては、1年のサチキバゆり真子グループについて
ゆりちゃんを「同じ中学だから誘った」と言っていることから
もしかしたらキバ子に誘われたことがゆり真子の出会いだったのかもしれませんね
(ゆり真子が既に出会っていた可能性もあるにはありますが)。
修学旅行の班決めの展開もそうですが、ただ出会ったのではなく案外キバ子の影響が大きい作品なのかもしれない…!

あとキバ子の学園生活については、加藤さんとの絡みを妄想しておいてなんですが
やはり一番の因縁はやはりゆりちゃんというか
「アホなキバ子を見るに、仲違いした理由は恐らく大したことではないのでは」
「キバ子は性格の悪さを残しつつ、ぼっちだなんだと見栄を張るような拘りが薄れてきた」
ということから、あの二人に何かしら絡みがあれば嬉しいなぁとも思うのでした。
特別仲直りするとか派手な物ではなく、淡々と会話を交わすような(その後は特に絡まなくていいので)。
真子さんに見つかったら「いや仲良くないけど」と言えるような(もここみと被りますね)。
サチと腹を割れたことだけでなく二木さんやオタクグループとの交流もそうですし、キバ子の世界が広がってくれたら良いなぁと願ってしまうのでした。

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